「福神漬け」は、ダイコンやナス、レンコン、キュウリ、シイタケなどの野菜類を醤油や砂糖、みりんなどで味付けをして作られる漬物である。
「福神漬け」は「ふくじんづけ」と呼ばれる場合が多いが、「ふくしんづけ」と呼ぶ地方もある。日本ではカレーライスに添えられる定番の漬物となっている。
「福神漬け」の発祥については諸説あるが、明治時代に東京・上野の漬物店「山田屋」が開発し、評判となり、日本全国に広まったとされる。7種類の野菜を用いることから、「七福神(しちふくじん)」にちなんで命名したという。また、その店が上野・不忍池(しのばずのいけ)の近くにあり、この池の中央には七福神の一人・弁才天(べんざいてん)を祀る弁天島(べんてんじま)があることも由来の一つとされる。
このように一般的には7種類の野菜を用いることで「福神漬け」になるとも言えるが、用いる野菜の数や種類は厳密に決められているわけではない。一方、農林水産省の日本農林規格では、以下の野菜類のうち5種類以上を使用した醤油漬けを「ふくじん漬け」と定義している。
「福神漬け」に使用される野菜は地方や季節、作る人により異なり、上記の他にもカブ(蕪)やウド(独活)、ニンジン(人参)などが用いられる場合もある。つまり、「福神漬け」は必ず使用される野菜が決まっているわけではなく、日本農林規格の定義を含めると「5種類以上の野菜を用いた醤油漬け」と表現できる。
ちなみに、一昔前の市販品では、人工着色料などを使って真っ赤な色をつけたものが多かったが、その後に開発された「自己主張し過ぎない」オレンジ色をしたカレー用製品が好評を博し、近年では色をつけない茶色の「福神漬け」も支持を得ている。
また、「しち(7)ふ(2)く(9)」(七福)と読む語呂合わせから、7月29日は「福神漬の日」という記念日になっている。
2020/9/26
カテゴリー「食べ物」