「珈琲」の漢字の由来

「コーヒー(coffee)」は日本において漢字で「珈琲」と書く。この漢字は当て字であり、江戸時代に考案されたと言われている。

コーヒー豆が採れるコーヒーノキ(コーヒーの木)はアフリカが原産地とされ、最も一般的なアラビカ種はエチオピアが発祥だとされる。

コーヒーは最初は一部の修道者だけが用いる宗教的な秘薬であり、生の葉や豆を煮出した汁が用いられていた。その後、現在のコーヒーのように豆を焙煎(ばいせん)して抽出するようになったのは、13~14世紀頃からである。

日本へは江戸時代の18世紀にオランダ人が持ち込んだとされ、長崎の出島でコーヒーが飲まれていたという記録が残っている。そして、「コーヒー」に漢字の「珈琲」の字を当てたのは、津山藩(現:岡山県津山市)の藩医で蘭学者の宇田川榕菴(うだがわ ようあん、1798~1846年)だとされる。

宇田川榕菴
宇田川榕菴

榕菴は「コーヒーの赤い実」がなっている様子から、あるものを連想してこの漢字を当てた。それは女性が髪飾りに用いる「かんざし(簪)」である。「珈琲」の「珈」の字は「玉を垂れた髪飾り」を、「琲」は「玉を連ねた飾り」を意味し、「かんざし」が漢字の由来となっている。

コーヒーの実
コーヒーの実

榕菴が自筆の蘭和対訳辞典に「珈琲」の漢字を記載したのが最初であると言われている。また、榕菴は日本に概念が無かった植物学や化学の書物を翻訳し、「珈琲」以外にも数多くの造語を生み出している。

例えば、酸素や水素、窒素、炭素といった元素名や、金属や酸化、還元、試薬といった化学用語、細胞や属といった生物学用語、圧力や温度、結晶、沸騰、蒸気、分析、成分、物質、漂白といった現在でも日常的に使われている用語などがある。

リンクWikipediaコトバンク

2020/12/6

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カテゴリー「語源・由来

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