「鶴の一声(つるのひとこえ)」は、職場の会議などで意見の対立が起きた時に、結論をあっさりと下す有力者・権威者の一言を意味する。
「社長の鶴の一声で計画の方針が決まる」のような使われ方がされる。
鶴は首が長く、鳴管(めいかん)と呼ばれる発声器官が他の鳥より発達しているため、金管楽器(きんかんがっき:ラッパ)のように甲高い声で鳴く。そして、その声は大きく、力強く、よく響き、遠くまで聞こえる。このような特徴から「鶴の一声」は、大きな発言力を持つ人の一声に例えられるようになった。
ちなみに、「鶴の一声」の反対語は「雀の千声(すずめのせんこえ)」である。「雀の千声」は、雀のように小さな鳥のたくさんの声から、つまらない者・力のない者の多くの言葉を意味する。
「鶴の一声」は、もともと聴く人の心に染み入る抜きん出た声を意味していた。そして、先に諺(ことわざ)として「雀の千声鶴の一声」があった。「鶴の一声」は「雀の千声」と対比されることで、大勢の人が騒がしい状況の中で発せられるひときわ抜きん出た声を表した。
その後、現在のように「鶴の一声」のみで用いられるようになった。ただし、「鶴の一声」の反対語は「雀の千声」だが、「雀の千声」のみで使用されることは少なく、「雀の千声鶴の一声」の諺として使用されることが多い。
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2021/1/4
カテゴリー「語源・由来」