水質改善を目的とした品木ダム

群馬県吾妻郡中之条町にある品木ダム(しなきダム)は、一級河川・利根川水系湯川に建設されたダムである。

品木ダム

高さ43.5メートルの重力式コンクリートダム。この種類のダムはダム本体の重さだけで水をせき止め、水圧や地震などから耐えるのが特徴で、日本では最も多いダムの形式である。

そんな品木ダムの目的は一般的な他のダムとは異なり、日本屈指の酸性河川であった吾妻川(あがつまがわ)の水質改善、河水の中性化を最大の目的としている。これに付随して水力発電も行う。吾妻川は近くにある草津温泉と同じ強酸性の川で、その水は鉄をも溶かすほどである。

その酸性の強さから魚などの生き物は生息できず「死の川」とも呼ばれていた。その酸性の水は下流にある八ッ場ダム(やんばダム)にも影響が出るほどで、ダムの壁にダメージを与えると安全性の面で大変なことになる。

死の川から八ッ場ダムを守っているのが約20km上流にある品木ダムであり、専用の施設で川の水にアルカリ性の石灰を加えて、水質を中和している。

その水を下流に流すことで川の酸性濃度を改善し、八ッ場ダムや橋などの建造物のコンクリートや鉄の劣化を防止している。また、生き物が暮らせる環境への改善や、川の水を飲み水に活用することができるようになった。上流にある品木ダムは下流にある八ッ場ダムを陰で支えているのである。

リンク国土交通省Wikipedia

2021/9/3

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カテゴリー「生活・科学

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