全く鳥が寄り付かない銅像の謎

一般的に屋外にある銅像には鳥が止まるイメージがあるが、金沢の兼六園(けんろくえん)には鳥が寄り付かない不思議な銅像がある。

石川県金沢市にある日本庭園「兼六園」には、1877年(明治10年)に起きた西南戦争における石川県出身の戦没者約400名の慰霊のために建設された「明治紀念之標(めいじきねんのひょう)」という記念碑がある。

明治紀念之標

中央には身長5.5mの日本武尊(やまとたけるのみこと)像があり、これは日本で最初の屋外人物の銅像とされている。この日本武尊像には「鳥が寄り付かない」という逸話があり、実際にハトなどの鳥は全く近付かない。

日本武尊像

これには科学的な理由が存在し、金沢大学教授の廣瀬幸雄(ひろせ ゆきお)の「ハトを寄せ付けない銅像の科学的研究」の結果、銅像には多くのヒ素が含まれていることが判明した。

ヒ素とは、毒性が非常に強く、摂取すると死に至る場合もある危険な物質である。銅像が建立されたのは1880年(明治13年)のことであり、当時は加工技術がまだ発達していなかった。そこで、ヒ素などを混ぜ合わせ銅を溶けやすくして加工した。

そのため、この像は一般的な銅像に比べて高い濃度のヒ素を含んでいる。このヒ素が銅と反応して電磁波が発生し、偶然にも鳥が寄り付かず、鳥のフンの被害も受けない銅像となった。

ちなみに、上記のような研究を行った廣瀬教授は「鳥を寄せ付けない合金」も開発しており、2003年(平成15年)にはこの銅像の研究によりイグノーベル賞の化学賞を受賞した。

リンク兼六園Wikipedia

2021/8/13

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カテゴリー「生活・科学

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