サッカー試合でユニフォームを交換する理由

サッカーの試合では終わった後にユニフォームの交換が行われる。これはお互いの健闘を称え合うためや感謝の気持ちを示すためと言われる。

サッカーのユニフォームを着た人

ラグビーやバスケットボールでもユニフォームの交換が行われる場合があるが、これはサッカーから始まったとされている。そのもともとの理由はフランス代表がイングランド代表のユニフォームを欲しがったことに由来する。

ユニフォーム交換の最も古い記録は1931年のフランス対イングランドの試合である。当時フランスにとってイングランドは絶対に負けたくない因縁の相手だった。そんな両国の間には長い戦争の歴史がある。

14世紀初頭にイングランド国王がフランスの王位継承権を主張したことなどから始まった百年戦争や17世紀後半から約130年続いた第2次百年戦争など、フランスはイングランドと200年以上争い続けてきた。そして、1863年にイングランドでサッカーが誕生すると両国の因縁はピッチ上にも持ち込まれた。

当時のイングランドは世界最強と言われるサッカー王国でフランスにとっては格上の相手だった。今でこそフランスはサッカーの強豪国だが、当時はそれほど強くなかった。そんなフランスは1923年に敵地でイングランドに挑み1対4で敗れた。その後の年も1勝もできず6年間で6連敗となった。

しかし、1931年にイングランドで行われた7度目の対戦でフランスは5対2でイングランドに歴史的な大勝利を収めた。当時はテレビのない時代であり、フランスに帰国しても勝利を信じてもらえない心配があった。そこでフランス代表は歴史的な勝利の証拠を持って帰りたいと考え、イングランド代表のユニフォームに目を付けた。

ヨーロッパの戦争では勝者が兜や鎧など身に付けているものを奪う文化があり、フランス代表はイングランド代表のユニフォームを戦利品とした。また、フランス代表のユニフォームは綿でできていたのに対し、イングランド代表のユニフォームは高級なシルクでできていた。

これらのことからフランス代表はイングランド代表のユニフォームを欲しいと思い、ユニフォームの交換を申し出た。その後、試合に勝っても負けてもユニフォームを交換して相手に敬意を示すようになった。

ちなみに、交換する際のユニフォーム代は自腹の場合もある。国の代表として戦う場合はサッカー協会が負担する場合もあるが、普通の試合ではユニフォーム1枚の値段が給料から天引きされる。

2025/8/10

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カテゴリー「スポーツ

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