人は緊張すると食欲がなくなるという性質がある。お腹は空いているはずなのに緊張していると食べたいと思わなくなる。
緊張すると食欲がなくなるのは体が戦闘態勢に入っているからである。そもそも緊張とは自分の命を守るための本能的な体の反応で、旧石器時代のころに人間が身につけたものだと考えられている。
例えば、人間がマンモスのような強い敵に出会った時に、相手と戦うのか逃げるのかをすぐに決定して動かなければ命が危ない。そんな時に人間は瞬時に動ける態勢、いわゆる戦闘態勢に入る。この時の体の状態が緊張である。
戦闘態勢に入った時、体に起こる変化として人は副交感神経より交感神経が優位に働く状態になり、戦うモードに切り替わる。副交感神経はリラックスしている時に優位に働き、交感神経はその逆で体を活発に動かす時に優位に働く。
交感神経のほうが優位に働くとエネルギーのもととなる酸素をたくさん取り入れるために呼吸が速くなる。また、エネルギーを運ぶ血液を次々と送り出すために心拍数が高くなったり、多くの情報を取り入れるために瞳孔が開いたりする。その他にも傷を負った時、出血を抑えるために手足の血管が収縮して手足が冷たくなる。
緊張すると戦いに備えるために交感神経が働き、上記のような生理現象が起きる。そんな中である器官の活動が低下する。それが消化器官である。食道や胃、大腸などの消化器官は食べたものを数時間かけて体が吸収しやすい形に変える。
今まさに敵と戦うという時に悠長に物を食べて消化している場合ではない。そのため、消化器官を動かすのは後回しになり、脳が食べるという指令を出さないことにより食欲がわかないという状況になる。
現代の生活では将来をかけた採用面接や初めてのデートなど失敗したら大変なことになると感じる時に、脳が命の危機かもしれないと本能的に感じて戦闘態勢に入り食欲がなくなる。また、緊張状態では食欲だけでなく味も感じにくくなる。
消化器官の活動が低下すると唾液の分泌量も減って唾液はネバネバしてくる。すると食べ物は飲み込みにくくなり、さらにネバネバした唾液が舌の味を感じる部分をおおって味が分からなくなってしまう。そのため、上司や取引先との食事会で料理がのどを通らないや味が分からないという現象が起きる。
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2026/10/19
カテゴリー「生活・科学」