1998年(平成10年)に長崎県島原市が「いのりの日」を制定。以降、同市にて実施されている。
1991年(平成3年)のこの日、長崎県の島原半島にある雲仙・普賢岳で大火砕流が発生した。避難勧告地区内で警戒中の消防団員、警察官、取材中の報道関係者などが巻き込まれ、死者40人、行方不明3人という犠牲者を出した。
噴火災害で家を失った被災者の多くが移り住んだ同市の仁田団地の第一公園内には「雲仙普賢岳噴火災害犠牲者追悼之碑」が、また、同市平成町の島原復興アリーナの海岸側に「消防団殉職者慰霊碑」が建てられている。
この日には、これらの碑の前に献花所が設置され、多くの犠牲者を出した大火砕流の発生時刻である午後4時8分にサイレンを鳴らし、黙祷を行っている。また、島原復興アリーナにおいて犠牲者追悼式や手紙・写真パネル展が開催されるなど同市内の各地で追悼行事が行われる。
雲仙岳は広義では普賢岳、国見岳、妙見岳の三峰、野岳、九千部岳、矢岳、高岩山、絹笠山の五岳からなる山体の総称で、「三峰五岳の雲仙岳」と呼ばれる。行政区分では島原市、南島原市、雲仙市にまたがる。狭義では「三峰五岳」のうちの「三峰」を指すこともある。
主峰は普賢岳(1,359m)であるが、1990年(平成2年)から1995年(平成7年)にかけての火山活動で形成された平成新山(1,483m)の方が高く、長崎県の最高峰となっている。地質学上の調査で推定される現象でしかなかった火砕流が、世界で初めて鮮明な映像として記録された火山としても有名である。
雲仙はもとは「温泉」の表記で「うんぜん」と読んでいたが、国立公園指定の際に現在の表記に改められた。雲仙国立公園(現:雲仙天草国立公園)は、1934年(昭和9年)に日本で最初に指定された国立公園である。硫黄泉の雲仙温泉があり、キリシタン殉教の舞台となった雲仙地獄めぐりが有名である。