東海国立大学機構の名古屋大学と岐阜大学が合同で設立した世界トップクラスの統合糖鎖研究所である糖鎖生命コア研究所(iGCORE)が制定。
日付は「とう(10)さ(3)」(糖鎖)と読む語呂合わせから10月3日を記念日としたもの。
「糖鎖」とは、全ての細胞の表面を覆う生命体物質の一種で、核酸(DNA・RNA)、タンパク質に次ぐ「第三の生命の鎖」として数多くの重要な働きを持つ。「糖鎖」に関する研究・知識の普及とその重要性についての啓発活動が目的。
記念日は2024年(令和6年)9月18日に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。2024年10月3日の記念日当日には、名古屋大学ナショナル・イノベーション・コンプレックス(NIC館)の共創スタジオ「Idea Stoa」において、記念日登録証授与セレモニーが開催された。
記念日の発案者は名古屋大学研究協力部産学連携課(元糖鎖生命コア研究所事務部)の大塚宗係長。「糖鎖」は様々な生物学的プロセスで重要な役割を果たしており、日本はこれまで常に世界の糖鎖研究をリードしているが、まだまだ世間一般の認知度は進んでいないことから、もっと「糖鎖」を身近なものに感じてもらうというコンセプトが元になっている。
糖鎖(とうさ、glycan)とは、各種の糖がグリコシド結合によって、鎖のようにつながりあった一群の化合物を指す。結合した糖の数は2つから数万まで様々であり、10個程度までのものをオリゴ糖とも呼ぶ。多数のα-グルコース分子が直線上に結合したアミロースやセルロースは最も単純な糖鎖といえる。
糖鎖は、人間の全ての細胞の表面を覆い、個々の細胞の個性を決め、細胞と外界(他の細胞や病原体など)とのコミュニケーションを制御していることから、特に、免疫や神経の機能、老化、また感染症、がん化、認知症など、多くの生命現象や疾患に密接に関わっている。
さらに、タミフル等の糖鎖を標的とした医薬品が有効であることや、最近ではがん治療などに用いられる抗体医薬の効果が糖鎖を変えることによって100倍程度に高まるなど、糖鎖研究が医療へ応用できることが分かってきている。
人間の血液のABO式血液型。実は糖鎖のわずかな形の違いで決まっている。赤血球の表面にある糖鎖の形が、A型・B型・O型の人では違う。その違いはわずか糖1個。この糖鎖の違いで、人間の身体は自分の血液かどうかを見分けている。
iGCORE(Institute for Glyco-core Research)は、世界トップレベルの糖鎖合成・糖鎖イメージング(岐阜大学)、糖鎖生物・糖鎖医学(名古屋大学)分野のほか、糖鎖分析、糖鎖数理モデルを含む様々な分野の両大学の研究者が集結する世界で無二の統合的糖鎖拠点を形成し、世界の糖鎖研究をリードしている。
関連する記念日として、「さ(3)とう(10)」(砂糖)と読む語呂合わせなどから3月10日・11月30日は「砂糖の日」、11月10日は「希少糖の日」となっている。