パチンコの看板でたまに目にするのが、「パ」だけが抜けているパ抜き看板。今も昔も子ども達が好きそうな看板である。
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しかし、「パ」以外の文字が先に消えている看板はあまり見掛けない。実はパチンコの看板で「パ」だけが消えるのは偶然ではなく、ちゃんとした理由が存在する。
その理由の大きなポイントはこの看板が「ネオン管」だということ。「パ」の半濁点の「○」は小さく・細く・カーブが急になっている。そのため、ネオン管が薄く割れやすく、ネオンガスが抜けやすい。これにより「○」だけ電気が切れてしまう。さらに「パ」の「○」と「ハ」は回路がつながっているため、「ハ」にも異常が発生し、消えてしまう。これが考えられる一つ目の理由である。
もう一つの理由は、「パ」の「○」の部分のネオン管と台座の距離が他の文字よりも近いことである。ネオン管とスチール土台の距離が近い場合には、そこで通電を起こす。その結果、ネオン管に穴が開き、ネオンガスが漏れる。
ネオン管と金属製土台が通電しないように、ある程度の距離が必要だが、それを守ると「○」が大きい不自然な「パ」になってしまう。そのため、「○」の部分のネオン管と土台の距離を近くして、文字のバランスを取っている。すると、「○」の部分だけ土台にも通電しやすくなり、ネオン管からネオンガスが漏れ、他の文字よりも早く消えてしまう。
ちなみに、現在のパチンコの看板はLEDに代わっており、ネオン看板自体がとても珍しくなっている。パチンコの「パ」だけが消えた看板は、街角の駄菓子屋や公衆電話と同じように、もうすぐ消えゆく昭和の景色なのである。
2018/9/8
カテゴリー「生活・科学」