「トロ」は、現在では寿司に欠かせない定番で、寿司の王様ともいえるのネタである。そんなトロの歴史を変えた無名のサラリーマンがいる。
そのサラリーマンの名前は安達一雄さんで、大正時代に三井物産に勤めていた人だという。ほとんどの人が知らない安達さんが寿司業界に残した功績は、マグロの脂身に「トロ」という名前を付けた事である。
江戸時代、マグロの赤身は食べても脂身は食べずに捨てられていた。これは当時、冷蔵庫が発達しておらず、脂身は傷みが早かったためである。また、この時代には赤身も醤油に漬け込んで「ヅケ」にして保存していたが、トロの脂身は脂肪分が多く水分を弾いてしまうためヅケにできなかった。
1918年(大正7年)、東京・日本橋にある老舗寿司店「吉野鮨」の常連だった安達さんは、当時、脂が多いことから「アブ」などと呼ばれていた脂身の部位を、「口の中でとろける」「口に入れるとトロッとする」様子から「トロ」と名付ける事を提案した。すると「トロ」という響きが他の客の食欲をそそり、徐々に好んで食べる人が増えていった。そして、現在のようにトロは赤身の2倍以上の値段がつく、寿司には欠かせない人気のネタとなった。
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2018/9/10
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