ウミガメのオスとメスの決まり方は遺伝ではない。ウミガメの性別は生まれた時のその環境の温度で決まり、砂の温度が重要となる。
その温度は29℃で、29℃を境にオスとメスが決まる。孵化した時の温度が28℃以下だとオスになる。30℃以上だとメスになる。ちょうど29℃の時はオスとメスが半分になる。これは爬虫類で広範に見られる「温度依存性決定」(Temperature-dependent sex-determination:TSD)と呼ばれる姓の決定方法である。不思議な姓別の決定の仕方だが、これでオスとメスの数のバランスがとれていた。
しかし、地球温暖化が進む現在、気温や海水、砂の温度は高くなっており、ウミガメはメスばかりが生まれるという状況になっている。2018年1月8日付の生物学専門誌『Current Biology』において、驚きの研究結果が発表された。それはオーストラリア北東部のグレート・バリア・リーフのアオウミガメについて調査した結果、オスとメスの比率が1対116でなんと99.1%がメスだった。
グレート・バリア・リーフは太平洋で最大のアオウミガメの繁殖地である。その場所で地球温暖化による影響を受け、性別の圧倒的な偏りが起きていた。ウミガメが今の状況で本当に種を維持できるかどうかは疑問であり、危機的な状況にあると考えらえている。
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2018/9/14
カテゴリー「生き物」