数ある宝石の中でも特に価値が高いとされるのがダイヤモンドである。そんなダイヤモンドはフライドチキンからでも作れる。
ダイヤモンドは炭素の同素体で、その構造は炭素原子が正四面体で結合している。フライドチキンの骨にも炭素が含まれており、結晶の仕方を変える事でダイヤモンドを作る事ができる。
グラファイト(黒鉛)と呼ばれる物は六方晶系の結晶であり、薄い板状の結晶が重なった構造で、平面同士の結びつきは弱く剥がれやすい。一方、ダイヤモンドは立方晶系の結晶で、とても強い結合力を持っている。炭素を立方晶系の結晶に変える事ができれば、ダイヤモンドを作れる。そのためには、高温と高圧をかける必要がある。自然界では地下のマントルなどで、炭素が高温・高圧になり、条件が揃って固まった物がダイヤモンドとなる。
人工的にダイヤを作る研究はずっと昔から行われていて、その結果として今では工業用ダイヤモンドが高温・高圧の技術により作られている。この合成ダイヤモンドは工業用のカッターなどに利用されている。そのため、フライドチキンの骨に含まれる炭素に高温・高圧をかける事でダイヤモンドを合成する事も可能である。
スイスにあるセンペル・フィデス社では、人の遺骨やペットの毛などからメモリアル・ダイヤモンドを人工的に製作している。色はイエローとブルーから選択でき、遺骨や毛から抽出した炭素に含まれる不純物の違いで、少しずつ違った色味に出来上がる。
気になるその作り方は、フライドチキンの骨から作る場合だと、骨1kgをまず燃やして粉々にする。それを特別な薬品に混ぜて約30分間沸騰させ、ダイヤモンドの素となる炭素を抽出する。粉末状になった炭素を型に入れ、巨大な高圧オーブンにセットする。
オーブンで1,200℃・6万気圧という高温・高圧の状態にする。骨の炭素がダイヤモンドの原子構造に変化して、ダイヤの原石となる。その後、2ヵ月をかけて原石を磨き、装飾用のカットを施せば、宝石としてのダイヤモンドが完成する。ただし、このダイヤモンドは天然ダイヤではないため、価値はたったの1,000円しかない。
リンク:センペル・フィデス
2018/9/20
カテゴリー「生活・科学」