水深5mの浅瀬に深海生物がいる海がある。それはオーストラリア南部のタスマニア島にあるバサースト湾である。
このバサースト湾は内陸部に深く切り込んでいる。その湾を上から見てみると岸辺の付近が赤茶色に見える。その様子はGoogleマップで見ても分かる。
実はこの海の水は赤く濁っている。そのため、浅瀬にも日の光が届かない。
海の中も真っ赤である。この赤い水が太陽の光を通さないため、昼間でも深海と同じ暗さになる。また、1年を通して水温も安定している。そのため、水深わずか5mの浅瀬に、本来海の深い所に生息している深海生物を見ることができる。
普段は水深1000mに生息するヒトデの仲間のテヅルモヅル、水深100mほどの深さに生息し、変わった外見と動作が特徴のホウボウやハリセンボン、ゾウギンザメなどの深海魚、水深500m以上の深い所にしかないアオリイカなどが生息している。
バサースト湾ではこれまでに20種類を超える新種が発見されている。そのほとんどは深海にしかいないと思われていた生き物の仲間である。では、何故バサースト湾の水は赤いのか。
実はタスマニアには紅茶やワインに含まれるポリフェノールの一種「タンニン」を含んでいる植物が多い。タンニンは空気に触れると赤くなる。このタンニンが川を経て、バサースト湾に流れ込み、海の上層部を赤色に染めている。その結果、赤い海の中は光が届かず、浅瀬にも関わらず深海と同じ環境を作ったのである。
リンク:ニコニコ動画、Googleマップ、Wikipedia
2018/12/16
カテゴリー「生き物」