カンガルーは子どもが母親の袋の中で育つことで有名である。しかし、赤ちゃんは袋の中で生まれるわけではなく、どのようにして袋の中に入るのか。
カンガルーの赤ちゃんは、袋の少し下にある直腸・排尿口・生殖口を兼ねる総排出腔という器官から生まれてくる。体長はたった2cm、体重1gほどの大きさでこの穴から出てくる。そんな小さな赤ちゃんには試練が待ち構えていて、生を受けた赤ちゃんは穴の上にある袋まで自力で登らなければならない。落ちた時点でその命は途絶えてしまう。
生後わずか5分、赤ちゃんは母親の袋を目指して命がけで這い上がる。無事に袋に到達すると母親の袋の中にある乳首に吸いつき、母乳を飲んで大きくなる。小さな命は本能でたどり着いた袋の中で大切に育まれる。
多くの動物園では総排出腔から出た瞬間を誕生日としているわけではない。それは出産時のカンガルーの赤ちゃんは小さすぎて出産日を特定することが困難なためである。また、カンガルーは妊娠してもお腹が大きくなるわけでもなく、出産予定日の特定も困難で、出産したことに気付かないことが多い。
穴から這い上がって袋に入ってから半年以上が経った頃、カンガルーの子どもが初めて袋から顔を出す。その瞬間をカンガルーの誕生日と定めている。上の画像は長崎バイオパークのカンガルーの赤ちゃんの様子だが、この動物園でも袋の外に自分から顔を出した日を誕生日としている。
リンク:長崎バイオパーク
2019/3/15
カテゴリー「生き物」