東京タワーや東京駅駅舎、浅草寺、六本木ヒルズ、レインボーブリッジなど、東京の夜を彩るライトアップを数多く手掛ける女性がいる。
その女性は日本人初の照明デザイナー・石井幹子(いしい もとこ、1938年~)さんである。日本で初めて都市や建造物をライトアップするという概念を持ち込んだ。彼女のライトアップ作品は、よみうりランドや恵比寿ガーデンプレイス、横浜ベイブリッジ、明石海峡大橋、大阪城、姫路城、大阪市の長堀シンボルロード、函館市のファンタジーフラッシュタウン函館など、挙げればきりがないほどである。
また、フランスのエッフェル塔やハンガリーのエリザベート橋、ドイツのブランデンブルク門など、日本のみならず世界各国で活躍している。彼女は日本照明賞や東京都文化賞、紫綬褒章など数々の賞を受賞し、照明デザイン・ライトアップの第一人者とされる。彼女がこれまで手掛けてきたライトアップは2000以上にもなる。
彼女のライトアップには見る人を魅了する驚きのテクニックが隠されている。例えば、東京・銀座の歌舞伎座では、2013年にリニューアルした際に照明を彼女が手掛けたが、一度見ただけでは気付けないテクニックがある。それは365日違う白の色で染めていることである。夏は涼しさを感じさせるやや青い白で、冬は少し赤みのかかった白で暖かみを演出している。徐々に色を変化させることで日本の四季を表現している。
また、2012年に完成した東京湾に架かる東京ゲートブリッジにもテクニックがある。普通だと橋柱の外側の面をライトアップするが、東京ゲートブリッジでは柱の横方向の面をライトアップしている。これにより普通は見えない奥の柱も見えるため、より立体的な光景となっている。
2019/1/2
カテゴリー「歴史・文化」