寿司屋の名前に3文字が多い理由

寿司屋の名前には「寿司大」や「杉むら」「すし大」「玉寿司」「新太郎」「玄海鮨」「おじま」「かつら」「すし庄」のように3文字の店名が最も多い。

寿司大
画像元食べログ

日本の和食の世界では、昔から「2で割り切れない奇数」は「切れない縁」という意味で縁起の良い数字とされてきた。これは古くからある陰陽道で、奇数は「陽」の数、偶数は「陰」の数とされていることにも繋がっている。

奇数については刺身の盛り付けにも表れていて、一般的に刺身は3切れ、5切れ、7切れで盛り付けられることが多い。また、盛り付ける魚の種類も3点盛り、5点盛り、7点盛りが多い。

このような考え方に加えて、寿司屋の名前に3文字が多いのは暖簾(のれん)が関係している。江戸時代、通りに面した家の幅(間口)に応じて課税されたため、多くの人は建物の間口を狭くし、幅が「半間(はんけん:約91cm)」の入り口しかない細長い家に住んでいた。そして、この細長い入口に合わせて暖簾の原型が誕生した。

その当時、生地の寸法の幅は「小幅(こはば)」という文化だった。小幅とはもともと藍染めに使うかめの口径に合わせて決めた日本の布幅の基準で、その長さは約36cmだった。店の入り口は半間(約91cm)で、布は小幅(約36cm)。この布を横に3枚並べると店の入り口より少し大きいちょうどよい幅になった。

そこから昔の暖簾は小幅で3枚が基本の形となった。暖簾が3枚の生地から作られていたため、店の名前も3文字の方が見栄えが良かった。寿司屋の名前は暖簾に合わせて3文字が多くなったと言われている。そこには日本の建築と織物の文化が深く関係していた。

そして建物の近代化で店の入口が広くなると、暖簾の枚数も3枚から5枚のものが増えた。さらに最近ではデザイン性を重視した暖簾も増え、暖簾の形は多様化したが、店の名前に3文字が多いのはかつての文化の名残と言える。

2019/3/26

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カテゴリー「食べ物

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