日本一名前の長い植物は、海草の「リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ」という名前で、その文字数は21文字である。
漢字で書くと「竜宮の乙姫の元結の切り外し」となり、その名前は岸辺に打ち上げられた葉の様子を、竜宮城の乙姫様の結っていた髪を切り離したものに例えて名付けられた。
実はこの植物は「アマモ(甘藻)」のことである。沿岸の砂泥地に自生する海草で、日本の各地に分布する。雌雄同株で多年生の花を咲かせる顕花植物であり、胞子で増える藻類ではなく、海中に生える種子植物である。
また、栄養塩を吸収し、酸素を供給して水質浄化に役立つほか、稚魚や稚貝が集まる。アマモは良質な海辺環境の指標とされる。アマモという名前は、地下茎を噛むとほのかに甘みを感じることに由来するが、「海藻(あまも)」に通じるとの説もある。そんなアマモの別名が日本で最も長い植物名として知られる。
一方、日本一名前の短い植物は「イ(藺)」で、その文字数は1文字である。一般的には「イグサ(藺草)」の名前で呼ばれており、日本の各地に分布するイグサ科の多年草で、俳句では夏の季語とされる。
湿地や浅い水中に生える植物で、泥に根を下ろす。イグサの茎は畳表やゴザ、帽子、枕などの素材として利用される。ちまきを笹でくるむ際に、結わえる紐としても用いられる。
別名には「トウシンソウ(燈芯草)」があり、その名前は、かつて油で明りを採っていたころにこの花茎の髄を灯心(燈芯)として利用したことに由来する。今日でも和蝋燭の芯の素材として用いられている。そんなイグサの標準和名が「イ」で、日本で最も短い植物名として知られる。
リンク:アマモ、イグサ(Wikipedia)
2019/6/30
カテゴリー「生き物」