東京都台東区の上野恩賜公園(通称:上野公園)内には、「これ以上落ちない」ことで受験生らに人気の「上野大仏」がある。
現在の上野大仏は顔面部しかない状態だが、もともと座高が約6メートルある釈迦如来坐像だった。1631年(寛永8年)に建立された上野大仏は、度重なる地震や火災などの災難により頭や首などが破損し、その都度修復されてきた。
しかし、1923年(大正12年)に発生した関東大震災により崩壊し、頭部が落下した。その後は改修されることなく、大破した頭部や解体撤去した胴部以下は寛永寺により保管された。さらに第二次世界大戦で金属が不足し、顔面部以外の頭部と胴部以下を日本軍に供出することになった。
このような経緯により、上野大仏は顔面部のみが残った。そして、1972年(昭和47年)、寛永寺に保管されていた顔面部をレリーフとして旧跡に安置し、現在のような上野大仏になった。
多くの災難を乗り越えてきた上野大仏は、顔面部のみが残るその様子から「これ以上落ちない」という意味で「合格大仏」とも呼ばれる。受験シーズンには合格を祈願する受験生や親などが数多く参拝し、賑わいを見せている。
2019/7/1
カテゴリー「歴史・文化」