「鮭」と「サーモン」の違いとは

鮭(サケ)は英語でサーモン(salmon)である。この二つは同じものだと思われがちだが、日本では「鮭」と「サーモン」には違いがある。

サーモン

「焼き鮭」のように「鮭」と表記する場合もあるが、寿司屋では鮭のことを「サーモン」という名前で販売している。実は、サーモンは生で食べられるもの、鮭は生で食べられないもの、という違いがある。回転寿司の店に並んでいるのはほとんどが生の魚であり、鮭ではなくサーモンという名前になっている。

「鮭」と呼ばれる魚は基本的に天然もので、餌としてオキアミなどの甲殻類を食べる。その甲殻類がアニサキスという寄生虫を宿していることがあり、この甲殻類を食べた鮭もアニサキスなどの寄生虫を持つ場合がある。生で食べると寄生虫に感染する恐れがあるため、鮭は火を通して食べられる。

一方、「サーモン」と呼ばれる魚は基本的に養殖もので、餌はオキアミではなく、魚粉や植物性タンパク質などで作られたペレット状の餌を与える。これにより、アニサキスなどの寄生虫を宿すことがなく、サーモンは生で食べられる。現在、日本では生食用に養殖した鮭をサーモンと呼ぶ。

もともと日本には基本的に加熱して食べる天然の鮭しかなかった。一方、サケ・マス類の漁獲量・生産量が世界一のノルウェーでは1970年代から鮭の養殖が行われており、鮭を生で食べることができた。

そこで、日本で漁業関係の仕事をしていた一人のあるノルウェー人が、養殖した生の鮭を日本に持ち込み販売することを考えた。しかし、「生鮭」の名前では加熱用の鮭と区別が付かないため、鮭と区別して「サーモン」という名前で販売することを思い付いた。

サーモンを日本に持ち込んだ1980年代は回転寿司の店が増え始めた頃で、店では安くて新しいメニューの開発に挑戦していた。そこにサーモンの寿司を売り込んだところ、美味しいと大ヒットした。

その後、ノルウェーのイェンス・ストルテンベルグ首相が自ら回転寿司の店に訪れてキャンペーンを行うなど、国を挙げたサーモンのアピールが実施された。そして、地道な努力が実を結び、日本にサーモンを持ち込んで約30年が経った今では、回転寿司でよく食べるネタのランキングでサーモンが第1位を獲得するなど、回転寿司を代表するネタとなっている。

また、現在では日本各地でサーモンの養殖が行われており、青森県の海峡サーモンや長野県の信州サーモン、滋賀県のびわサーモン、愛媛県の宇和島みかんサーモンなど、80種類以上のご当地サーモンが生産されている。

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2019/10/22

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カテゴリー「食べ物

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