「てこずる」とは、もてあます、手にあまる、処理に困る、などの意味である。漢字では「梃子摺る」や「手子摺る」と書く。
これは重い物を動かす時に利用する「梃子(てこ)」から生まれた江戸時代の言葉である。梃子とは、固い棒状のもので、途中に置いた支点を中心に棒が回転し、その一端に力を加えることで、小さい力を大きな力に変えることができる。これは「てこの原理」として有名である。
江戸時代には人や物の行き来が頻繁になり、梃子を使って重い物を運ぶ機会も多くなった。そんな中で、重い物を動かそうとして、梃子を使うが動かない。そして、梃子がずれてしまったことから「てこずる」という言葉が生まれた。この言葉は当時の流行語になったとされる。
その他にも、手助けをする人や雑用をする人のことを「手子(てこ)」と言い、手伝いの手をわずらわせることから「てこずる」になったという説などがある。
上司の説得にてこずる、いたずらっ子にてこずる、家具の組み立てにてこずる、などの使われ方がされる。「てこずる」には、物事を行う際に時間や労力を必要とすること、物事の進行がなかなか上手くいかないこと、という意味があり、同様の意味を持つ言葉として、「手間取る」「手を焼く」「難渋する」などがある。
リンク:コトバンク
2019/11/7
カテゴリー「語源・由来」