ピカッと光ってゴロゴロ鳴る「雷」は、大和言葉では主に「かみなり」または「いなずま」と読む。その他、「いかずち」「らい」などの読み方がある。
「かみなり」という言葉は、その昔、神が雷を打ち鳴らすもの、と信じられており「神鳴り」と呼ばれていたことに由来する。桃山から江戸時代の作品である国宝「風神雷神図屏風」(作者:俵屋宗達)にも雷神には太鼓が描かれており、これを打ち鳴らした音が「かみなり」と考えられている。
「いなずま」もしくは「いなづま」という言葉は、雷の別名である。稲が開花し結実する夏の終わりから秋にかけて、雨に伴い雷がよく発生した。稲は雷をうけて結実すると信じられていたため、雷と稲を関連付けて「稲の妻(=配偶者)」と解し、「稲妻(いなづま)」または「稲光(いなびかり)」と呼ぶようになったとされる。その当時、農家の人は雷が鳴るたびに、今年は豊作になるのではと喜んだという。
「いかずち」もしくは「いかづち」という言葉は、「厳(いか)つ霊(ち)」に由来するとされる。「厳(いか)」は「たけだけしい」「荒々しい」「盛んな」などの意味がある「厳し(いかし)」の語幹。「つ」は助詞。「霊(ち)」は「水霊(みずち)」のように霊的・神秘的な力を持つものを表す言葉である。
「雷」という漢字は、「雨かんむり」の下に「田」と書く。上記の「稲妻」に関連して雨と田に由来する漢字のようにも思えるが、この「田」は「田んぼ」ではない。古い字体では「雨」の下に「品」のように「田」を三つ重ねた「畾」の字が書かれていた。さらに古い字体では「田」は「○に十字」の形をしていた。「雷」という漢字は、もともと空に光る「稲光」の形や「ゴロゴロ」という音を表した字と言われている。
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2019/11/9
カテゴリー「語源・由来」