「シリカゲル」の意外な利用方法

シリカゲル(silica gel)は、無色半透明で、多孔質構造を持ち表面積が広いため、主に乾燥剤として利用される。

シリカゲル

シリカゲルは乾燥剤として、お菓子の袋などに入れられるため、日常生活の中で目にする機会も多い。その他、住宅用のシリカゲルもあり、1袋2kg入りなどのシリカゲルを建物の基礎部分に設置することで、湿度を調整する役割を果たす。また、シリカゲルは乾燥剤以外の使われ方もされる。

例えば、毎日使用する歯磨き粉に入っている場合がある。商品のラベルには「シリカゲル」ではなく、「無水ケイ酸(シリカ)」などの表記がされており、研磨剤として用いられる。これはシリカの硬度が高いことを利用したもので、歯の表面を磨くのに適している。

シリカ(silica)は、二酸化ケイ素(SiO2)、もしくは二酸化ケイ素によって構成される物質の総称である。シリカゲル(silica gel)は、メタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)の水溶液を放置することによって生じる酸成分の加水分解で得られるケイ酸ゲルを脱水・乾燥した物質(SiO2・nH2O)である。

二酸化ケイ素は、地殻成分の約60%を占めるとされ、地殻を形成する重要な物質の一つである。そのため、シリカゲルの原料は「砂」で、オーストラリアのシリカ純度の高い砂が原料として使用される。

シリカゲルはドライフラワーを作る時にも利用され、密閉容器にドライフラワー用のシリカゲルを敷き詰め、その中に生花を1週間ほど入れておくとドライフラワーができる。自然乾燥だと色が抜ける場合もあるが、シリカゲルを利用すると色鮮やかなドライフラワーとなる。

また、シリカゲルはビール製造にも利用される。ビールの製造過程において、シリカゲルを使って不要なタンパク質などの不純物を吸着させ除去する。ビールが製品になる前にシリカゲルは全て取り除かれるため、製品に入っているということはない。

食べ物の中にシリカゲルが入っている場合もあり、粉末状の食品の中に固まるのを防ぐために、粉末状のシリカゲルが添加される。この場合も商品のラベルには「シリカゲル」ではなく「微粒酸化ケイ素」などの表記がされる。

シリカゲルは体内に入っても消化吸収されないため、口に入れても害はないとされる。そのため、上記のように歯磨き粉の研磨剤や食品に添加して利用される。ただし、乾燥剤として利用される場合は、食べ物ではないため「食べられません」や「Do not eat.」などの注意書きがされる。

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2019/11/15

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カテゴリー「生活・科学

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