日本には可燃ゴミを全く燃やさないシステムを持つ町がある。もちろん他の町にゴミを持って行くわけではない。
それは人口が約6万2000人の香川県三豊市である。同市では色んな微生物の働きを研究していて、今まで燃やすしかなかった可燃ゴミを微生物に分解してもらうという処理方法で、「可燃ゴミ」を「資源」に変えている。これにより可燃ゴミを燃やす必要はなくなった。
「ゴミはすべて資源」という理念を掲げる同市では、新しいゴミ処理施設について公募した。そして、廃棄物処理業を営む株式会社エコマスターから提案された「トンネルコンポスト方式」と呼ばれるシステムを採用し、民設民営方式で運営している。
可燃ゴミは発酵させるために密閉されたコンクリート製のトンネルの中に入れられる。コンポスト(compost)とは、都市ゴミを発酵させて作った堆肥を意味する。つまり、トンネルコンポスト方式とは、破砕した燃やせるゴミをバイオトンネルの中で発酵・乾燥させ、固形燃料や有機肥料の原料としてリサイクルするというシステムである。
これは日本初の試みで、2017年に稼働が始まったゴミ処理施設「バイオマス資源化センターみとよ」では、家庭や廃棄物処理業から出た燃やせるゴミを発酵・乾燥させて固形燃料の原料としてリサイクルしている。固形燃料は石炭の代わりとして使用される。二酸化炭素の排出を抑え、ダイオキシン類も発生しない。ヨーロッパでは盛んな先進的なゴミ処理モデルである。
燃やせるゴミは、生ゴミやプラスチック、紙などが混在している混合ゴミであり、これは臭いや水分の関係からリサイクルが難しいとされてきた。トンネルコンポスト方式では、これらの混合ゴミもリサイクル可能な状態にできる。この技術は、使用済みオムツのリサイクルにも適している。
この燃やせるゴミを資源化するシステムは従来の焼却システムよりも費用がかからず、コストカットにもつながる。同市のように人口があまり多くなく、ゴミの焼却に予算がかけられない町に適したゴミ処理方法である。
2019/10/27
カテゴリー「生活・科学」