会話の合間や質問されて考える間に、人は「え~と」や「あの~」と言ってしまう。無言の間を作らないようにするのには理由がある。
「え~と」や「あの~」「その~」「まあ…」「あのね…」などの言葉は、言葉が出てきにくい時にその場をつなぐための言葉である。これらの言葉を言ってしまうのは、自分の発言権をキープするためである。
これらの言葉は、満たす・埋めるという意味の英語「fill」に由来して「filler」(フィラー)と呼ばれる。フィラーは他の人にしゃべられてしまうのを避ける働きがある。例えば、質問をされた時、「え~と…」と言うことで自分がまだ考えていることをアピールしている。そして、その間は周囲の人が黙り、自分の発言権をキープできる。
このフィラーを巧みに使った人として、昭和時代の第64-65代内閣総理大臣・田中角栄(たなか かくえい、1918~1993年)が挙げられる。
田中角栄は、演説において聴衆の集中が途切れそうな時に、もう一度注目を引き付けるテクニックとして、「まあ その~」などの言葉を使ったとされる。また、誰にでも分かりやすい言葉で語り続け、庶民の共感と理解を得て、国民的な人気を誇った。
私たちも日常の会話の中で無意識に使っているフィラーだが、その中でも「え~と」と「あの~」が最も多く使用される。この二つには使い方の違いがあり、「え~と」は深く考えている時で、記憶やエピソード、単語を頭の中で検索する時に主に使われる。一方、「あの~」は言いたいことは決まっているが、どう表現するか考えている時に使われる。
2019/10/18
カテゴリー「生活・科学」