玄関や冷蔵庫、トイレなどに消臭を目的に炭が置かれる。また、炭を使った消臭剤・脱臭剤などの商品も販売されている。
炭を置くとニオイが消えるというが、正確にはニオイが消えているわけではない。炭は多孔質と呼ばれる性質を持つ物質で、炭の表面にはミクロの小さな穴がたくさん開いていて、その穴にニオイのもとを引っかけている。
ニオイとは、空気中の埃や花粉、カビ、細菌などが作り出すとても小さなニオイのもとが混ざってできている。炭にはこれらのニオイのもとを小さな穴で捕まえる能力がある。空気中のニオイのもとが減ることで消臭の効果が得られる。
炭1gあたり約500m2の表面積があるとされ、これは平面に広げると小さな体育館の床くらいの面積になる。炭300gだと、東京ドーム約3個分の表面積になる。炭には数多くの穴があり、そのとても大きなスペースでニオイを捕まえる。
ただし、炭の穴は無限ではないため、その穴にニオイが溜まると、次第にニオイを捕まえられなくなる。そんな時には、炭をお湯で洗ったり、天日干しすると消臭効果が戻るという。
そんな中、開発されたのが多孔性配位高分子(porous coordination polymers:PCP)と呼ばれる新素材で、炭よりも多くの穴が開いていて、炭を超える脱臭効果があるとされる。また、PCPはニオイを閉じ込めるだけでなく、温めることでニオイを取り出せる。その性質を利用すると、好きな花や食べ物のニオイを閉じ込めておき、そのニオイを好きな時に嗅ぐこともできる。
2019/10/21
カテゴリー「生活・科学」