「こたつ」は、日本独自の暖房器具とされる。点火した木炭や電気を熱源として、その周りに櫓(やぐら)や机の枠組みを置き、布団で覆って体を暖める。
「こたつ」は漢字では「炬燵」や「火燵」と書くほか、古くは「火闥」や「巨燵」「火榻」とも表記された。「こたつ」は室町時代に禅宗から広まったとされ、その名前も禅僧が考えたものと言われている。
その当時は漢字で「火榻子」と書き、これを「こたつ」と読んだという説がある。当時の「こたつ」は「火」を使っており、「子」は「椅子(いす)」などと同様に道具や物に付けられる接尾語である。
「榻」は訓読みで「しじ」と読み、牛車(ぎっしゃ)から牛を外した時の支え、または牛車の乗り降りに利用する踏み台のことを意味する。下の画像の右下にあるものが「榻(しじ)」である。
「炬燵櫓(こたつやぐら)」の形がこの踏み台の「榻」に似ていることから、「火」と組み合わせた「火榻子」という言葉が生まれた。そして、中国語の発音に由来して「こたつ」と呼ばれるようになったとされる。
その他にも、「踏立(けたつ)」や「脚立(きゃたつ)」を語源とする説もある。元々は櫓を腰掛として使用し、暖を取っていたという考え方である。
ちなみに、寒い冬の季節は「こたつにミカン」というイメージがあるが、残念ながら「こたつ」の生産量は近年に激減している。
電気こたつの国内生産台数は、1990年(平成2年)に約178万台だったものが、2003年(平成15年)には約24.7万台であり、13年の間に生産量は当時の約13.8%にまで減少してしまった。また、現在では大手メーカーは基本的に電気こたつを生産しておらず、中小メーカーにより生産されている。
2019/12/29
カテゴリー「語源・由来」