「お年玉」の名前の由来

「お年玉(おとしだま)」とは、新年を祝って人に贈る金品のことである。現在では、特に大人が子供にお年玉としてお金を渡す習慣が広まっている。

お年玉

「お年玉」は単に「年玉(としだま)」ともいう。では、「玉」とはどういう意味なのか。この玉はお金のことを意味する言葉にも思えるが、そうではない。

お年玉の「玉」は年神(歳神)がくれる「魂」のことであるという説がある。年神とは元旦に各家庭に降りてくる神である。「年」は稲の実りのことであり、年神はその年の幸せや五穀豊穣を運んでくれると考えられている。

年神は正月の間、丸い「鏡餅」に宿るとされる。鏡餅は鏡を餅で表したものである。鏡とは古くは弥生時代から使われ、三種の神器の一つでもある鏡には神が宿るとされる。一方、餅は稲の霊が宿った神聖なものとして、神にささげられる。この餅を神が宿る鏡に見立てて鏡餅とし、正月における年神の居場所として供える。

この鏡餅には、その年を生きるための「年神の魂」が宿るとされる。これを「年魂(としだま)」という。その昔、正月には家長が年魂の宿った鏡餅を「御年魂(おとしだま)」として家族に分け与えた。この餅を「雑煮」にして食べることで1年分の力を授かることが出来た。

「お年玉」とは、その年を生きるために分け与えられる「年神の魂」のことである。農家の多かった昔は、お年玉といえば餅で作られたものを意味した。しかし、現代ではお年玉といえばポチ袋に入ったお金を意味する。これは意外と最近の話で、1955年(昭和30年)頃の高度経済成長期からお金のお年玉が全国に広まっていったとされる。

高度経済成長期の工業の発展に伴い、企業で働く人が増加し、農家が減少した。お米が暮らしを支える時代から、お金が暮らしを支える時代になり、お年玉も餅から金に変化した。

「お年玉」にはこのような歴史があり、元々は「年神の魂」という意味である。この他にも、年神の魂はありがたい賜物(たまもの)であり、「年賜(としだま)」と呼ばれたことに由来する説もある。また、昔は正月に子供に玩具を与えており、お年玉としてお金を渡すようになったのは、その玩具の代わり=玩具代だとする説もある。

リンクWikipediaコトバンク

2020/1/5

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カテゴリー「語源・由来

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