爬虫類の「カメ」は寿命が長い生き物であり、「鶴は千年、亀は万年」といわれるなど、長寿の象徴とされる。
公園の池などで見かけるミドリガメの寿命は50年以上であり、さらにリクガメは100年以上、ゾウガメは150年以上生きたという飼育記録もある。カメが長生きな理由については、全てが解明されているわけではないが「心拍数がとても少ないため」という説がある。
心拍数とは1分間に心臓が動く回数のことである。心拍数が多い生き物ほど寿命は短く、心拍数が少ない生き物ほど寿命は長い。なぜ心拍数が少ないと長生きになるのか。
心拍数が少ないと「代謝(たいしゃ)」の速度が抑えられ、過剰な活性酸素が発生せず、老化も緩やかになる。
人間を含むあらゆる生物は呼吸で取り込んだ酸素を食べ物と化学反応させることでエネルギーを得ている。この生きるために必要なエネルギーを作る一連の流れのことを「代謝」という。代謝で使われずに余った酸素は、ものを酸化させる力がより強い「活性酸素」に変わる。
活性酸素にはガン細胞・ウイルスなどを攻撃する免疫作用や、細胞伝達物質としての役割があるが、活性酸素が多すぎると、攻撃する必要のない細胞まで壊してしまい、老化や病気の原因にもなる。
心拍数が多いと呼吸の回数も増え、体に取り込む酸素の量も増える。これにより発生する活性酸素の量も増え、老化や病気になりやすく、結果的に寿命が短くなる。
人間の心拍数は1分間に60~90回であるのに対し、寿命が2~3年のハムスターは400~500回、寿命が15~18年のヤギは70~90回。100歳以上生きることもあるリクガメの心拍数は、1分間に10回以下との情報もある。
カメの心拍数が少ない理由としては、カメが甲羅に身を隠す生き物であることが挙げられる。甲羅に入る時、カメは肺の空気を全部出している。カメは肺の空気を抜くことで甲羅の内側に空間を作り、そこに頭や手足を入れて身を隠すことができる。
カメは甲羅に入っている間はほぼ呼吸をしていない状態である。呼吸を止めることで、心拍数も少なくなり、代謝もゆっくりで、結果的に長生きであると考えられている。
2020/1/4
カテゴリー「生き物」