外来種のホンビノス貝が救世主の理由

東京湾におけるアサリなど貝類の漁獲量は1960年代以降、大幅に減少しており、東京湾で貝が獲れない状況になっている。

一方、「ホンビノス貝」と呼ばれる二枚貝の漁獲量は年々増加傾向にある。このホンビノス貝は、旨みがあって美味しい貝で、最近スーパーや鮮魚店などにも並んでいる。しかし、この貝は本来日本にはいなかった「外来種」である。

ホンビノス貝

通常、外来種は既存の環境に悪影響を及ぼすため、駆除の対象となる場合が多い。しかし、このホンビノス貝は駆除どころか貝の「救世主」とも呼ばれ、東京湾の漁師を助けている。

アサリやハマグリなどの一般的な貝は酸素の多いきれいな海を好む。東京湾は元々海がきれいでアサリが好んで生息する場所が多くあった。ところが、都市化や工業化などにより水質が悪化し、これらの貝の数は減少してしまった。

一方、ホンビノス貝は酸素があまり多くないヘドロがたくさんある場所に住むことが出来る。アサリやハマグリなどの在来種とは生息する場所が違うため、在来種の邪魔にならず、現在のところホンビノス貝による被害報告はない。

在来種であるアサリなどの貝に影響を与えず、さらに美味しいことからホンビノス貝は救世主として扱われている。近年、ホンビノス貝の価格は上昇しており、東京湾において漁師の新たな収入源となっている。

ちなみに、ホンビノス貝の原産は北アメリカ大陸の大西洋側であり、アメリカなどでも食用として漁獲対象となっている。アメリカの東海岸ではホンビノス貝がクラムチャウダーやバター蒸し、ワイン蒸しなどの料理として好んで食べられる。

日本では1998年に千葉市美浜区の浜辺で初めて発見された。ホンビノス貝が日本に入って来たのは、貨物船のバランスを保つために積み込むバラスト水に紛れ込んだという説や、輸入業者が売れ残った貝を放流したという説がある。

浜焼き

ホンビノス貝は日本ではハマグリと同様に、浜焼きや酒蒸し、吸い物、かき揚げ、鍋、パスタなどの料理に利用される。また、2017年に主要漁場の名前から「三番瀬産ホンビノス貝」として、千葉県のブランド水産物として認定されている。

リンク船橋市Wikipediaコトバンク

2020/1/26

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カテゴリー「生き物

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