「段ボール」とは、波状に成形した中芯(なかしん)と呼ばれる紙の片面または両面にライナーと呼ばれる板紙を張り合わせたものである。
段ボールに使われる平らな板紙は、「板のように厚くて丈夫な紙」という意味で英語では「paperboard(ペーパーボード)」と呼ばれる。このペーパーボードの「ボード」が日本人には「ボール」と聞こえた。これに由来して日本ではこの板紙のことを「ボール紙」と呼ぶようになった。
また、段ボールの特徴として、中芯が波状の形をしていて非常に丈夫であることが挙げられる。段ボールを真横から見ると三角形が連続しており、この三角形の連なりを「トラス構造」といい、構造物が非常に頑丈になる。
例えば、四角形と三角形を比較した場合、三角形のほうが変形しづらく丈夫である。この性質からトラス構造は東京タワーや東京スカイツリー、陸橋などにも使われている。
このトラス構造をした紙は外からの衝撃に強い。その性質から波型のボール紙と1枚の板状のボール紙を張り合わせたものが、1870年代からアメリカでガラス製品などの包装に使われるようになった。
明治時代、日本ではこの紙が「なまこ紙」と呼ばれていた。それは波型のボール紙の形状が「なまこ」に似ていたことに由来すると考えられている。その後、日本において「段ボール」という言葉を作ったのは、実業家の井上貞治郎(いのうえ ていじろう、1881~1963年)である。
「段ボール」の「段」は、波型のボール紙が「段々」に見えることに由来する。井上貞治郎は、段ボールの大量生産と強固な「段ボール箱」の開発に成功した。また、聯合紙器(現社名:レンゴー)を設立した人物であり、「日本の段ボールの父」と称される。
このように明治時代に「なまこ紙」と呼ばれていた紙は、井上貞治郎により「段々に見えるボール紙」という意味に由来して「段ボール」と名付けられ、現在のようにその名前が広く使われるようになった。
2020/2/10
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