「ため口(ためぐち)」とは、相手を対等として扱った話し方、親しい人同士での話し方を意味する。「タメ口」とも表記される。
「ため口」は敬語を使わない言葉、仲間同士の言葉という意味でもある。「ため口をきく」「ため口をたたく」のような使われ方がされる。また、「ため」は相手と対等、または同等であることを意味する俗語である。
「ため」という語は、もともと賭け事をする時に使う言葉だった。江戸時代中期から後期以降、賭け事といえば、サイコロの出た目を予想する「丁半(ちょうはん)」と呼ばれるサイコロ賭博が盛んに行われていた。
そのサイコロ賭博において、「ため」は二つのサイコロで同じ目が出る「同目(どうめ:ゾロ目)」を意味した。サイコロ賭博と共に言葉が広まる中で「どうめ → とうめ → ため」と変化し、「ため」という言葉が生まれたという説がある。
つまり、二つのサイコロが同じ目を出した状態を指す「同目」が、同じ立場、対等の立場という意味で「ため」という言葉が使われるようになった。その後、1960年代に不良少年が「ため口」の語を仲間内だけの隠語として使い始め、若者の間で広まり、1980年代には一般に広まったとされる。
2020/3/5
カテゴリー「語源・由来」