「ジーンズ(jeans)」とは、主にインディゴと呼ばれる染料で染めた「デニム生地」で出来たスボンを指す。その色は青色または藍色である。
ジーンズは元々労働者のための衣服で、アメリカで誕生した。1848~1855年に起きたゴールドラッシュでは、アメリカ・カリフォルニアに眠る金を採掘するために30万人もの人々が集まった。金を採掘する作業はとても激しく、ズボンがすぐに破れるのが労働者の悩みだった。
そんな労働者の意見に耳を傾けたのが、後にジーンズの世界的メーカーを作る実業家リーバイ・ストラウス(Levi Strauss、1829~1902年)である。ストラウスは当時最も強い素材だったテントや船の帆などに使われる「キャンバス生地」でズボンを作った。
そのズボンは耐久性が高く、鉱山で働く人たちに大人気となった。ただし、最初に作られたズボンは青色ではなかった。ジーンズが青くなったのは労働者のもう一つの悩みが原因だった。
それは労働者が働く鉱山には多くの蛇がいて、作業中に蛇に噛まれるという悩みだった。そこで使用されたのが「天然のインディゴ」で、インディゴはインド藍などの植物を原料とする藍色を呈する染料である。天然のインディゴには「ピレスロイド」という虫よけや蛇よけに効果があるとされる成分が含まれていた。
当時、インディゴ染めのジーンズは毒蛇よけの効果もあると宣伝され、多くの労働者が愛用するようになった。このように、ジーンズが青色になったのは、鉱山で働く人たちを蛇から守るためだったと言われている。
ただし、現在のほとんどのジーンズには化学的に合成されたインディゴが使用されており、この合成インディゴには蛇よけや虫よけの効果はない。合成インディゴは安くて大量生産に向いている。現在でも少量生産で高価だが、天然インディゴ染めのジーンズも存在する。
また、日本でも天然のインディゴを使用した伝統的な染め物があり、それは「藍染め」と呼ばれる。藍染めは、藍(アイ)という名前の付く植物を使った染め物で、江戸時代に庶民の衣服やのれん、風呂敷などに使用された。古くから蛇よけや防虫効果があると知られており、農作業をする時の衣服にも使用されていた。
2020/3/6
カテゴリー「生活・科学」