「食指が動く」の語源・由来

「食指が動く」(しょくしがうごく)とは、「食欲が起こる」「興味・関心を持つ」「物を欲しがる」などの意味を持つ言葉である。

「食指」とは「人差し指」のことである。「食指が動く」という言葉は、紀元前の中国の故事に由来する。歴史書『春秋』の代表的な注釈書の一つ『春秋左氏伝』(しゅんじゅうさしでん)によると、古代中国の春秋時代、鄭(てい)という国で子公(公子宋)が君主の霊公を訪ねた。

その道中に自分の人差し指が動いたのを見て、子公は同行している者に「これはご馳走にありつける前兆だ」と言った。そして、霊公の家ではスッポン料理が用意されており、それを見た二人は顔を見合わせて笑ったという。

このような故事に由来して「食指が動く」は「食欲が起こる」という意味になり、転じて「物事に対して興味・関心を持つ」や「物を欲しがる」「何かをしたくなる」などの意味で使われるようになった。

ちなみに、2011年(平成23年)の文化庁の「国語に関する世論調査」では「何かを食べたくなる」ことを表現する時に、本来の言い方とされる「食指が動く」を使う人が38.1%、本来の言い方ではない「食指をそそられる」を使う人が31.4%という結果が出ている。

この「食指をそそられる」は「食欲をそそられる」の誤用と思われ、「そそる」は「ある感情・行動を起こさせる」「誘う」という意味である。そのため、「そそられる」のは「食指」ではなく「食欲」となる。

リンクコトバンクWikipedia

2020/4/12

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