「火中の栗を拾う」の意味・由来

「火中の栗を拾う」(かちゅうのくりをひろう)という言葉は、「自分の利益にならないのに、他人のために危険を冒すことの例え」として使われる。

この言葉はフランスで生まれた諺(ことわざ)である。17世紀のフランスの詩人ラ・フォンテーヌ(La Fontaine、1621~1695年)が『イソップ寓話(ぐうわ)』を基にした以下のような話がある。

ある時、暖炉で焼ける美味しそうな栗を見ている猿と猫がいた。猿が猫に「君なら、あの火の中の栗でも上手に取り出せるんだろうね」と言った。そこで、猫は大火傷(やけど)を負いながら栗を拾い出した。ところが、猫が苦労して取り出した栗は、ずる賢い猿に全部食べられてしまった。結果的に、猫はひどい火傷を負い、栗も食べられないという散々な目に遭った。

このような話から「火中の栗を拾う」という言葉が生まれた。この言葉は「危険なことや困難なことを率先して行う」という意味で使われる場合もあるが、本来は上記のような話から「他人のために危険を冒して馬鹿な目に遭う」という意味である。

この言葉は「他人のために」というのがポイントとなる。英語では「Pull someone's chestnuts out of the fire.」(火の中から誰かの栗をつまみ取る)や「To take a risk for someone.」(誰かのためにリスクを負う)のような表現が見られる。

ラ・フォンテーヌ
ラ・フォンテーヌ

ちなみに、ラ・フォンテーヌは「全ての道はローマに通ず」(すべてのみちはローマにつうず)という有名な格言も残している。英語では「All roads lead to Rome.」となる。ローマ帝国が全盛の時代には、世界各地からの道がローマに通じていたことに由来する言葉である。手段は違っても目的は同じであることの例え。また、真理は一つであることの例えとして使われる。

リンクコトバンクWikipedia

2020/3/28

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カテゴリー「語源・由来

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