「マングローブ」とは、特定の植物名ではなく、熱帯および亜熱帯地域の海水に浸る場所に生息する木の総称である。
マングローブを構成する植物には、ヒルギ科のメヒルギやオヒルギ、ヤエヤマヒルギ、ハマザクロ科のハマザクロ、キツネノマゴ科のヒルギダマシなどがある。日本では種子島や屋久島、沖縄本島、久米島、石垣島などで見られる。
普通の植物は海の水である塩水を吸うと枯れてしまうが、マングローブは海水を吸い上げても、その塩だけを葉っぱの部分から排出したり、葉っぱに塩分をためて葉っぱごと落としたりする特別な能力がある。これらの能力によりマングローブは海水がある場所でも生息することができる。
その他、マングローブの種も特殊な進化を遂げていて、海にプカプカと浮かびながら何千キロという長い距離を移動することができる。これにより世界中で子孫を残してきた。
しかし、近年では世界各地でマングローブの破壊が問題になっている。東南アジアでは、木炭の材料とするための伐採と、海岸沿いの湿地を日本向けのウシエビ(ブラックタイガー)やバナメイエビなどのエビ養殖場とするための開発が主な原因となっている。
また、家畜の飼料とするための伐採も行われており、多くの場所でマングローブが消滅しつつある。その一方で、地球温暖化の対策や海の水質浄化を目的として、マングローブの再生を目指した植樹も行われている。
2020/4/17
カテゴリー「生き物」