2012年(平成24年)7月10日、東京タワーの先端部にあるアンテナ支柱の取り換え工事の際に、地上306mの支柱の中から「軟式野球ボール」が発見された。
東京タワーは、1958年(昭和33年)12月23日に完成した電波塔で、高さ333m(海抜351m)でフランス・パリのエッフェル塔を抜いて、当時世界一の高さを誇る建造物だった。その後、2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の影響で、タワー先端部のアンテナが曲がってしまった。
耐震工事でそのアンテナを交換するために作業員が支柱を切断したところ、中から「謎の野球ボール」が出てきた。その野球ボールは建設当時から支柱の中にあったとみられており、東京タワーの完成から54年後、半世紀以上の時を経て、人々の目に触れることとなった。
その「謎の野球ボール」が発見された当時、新聞やテレビのニュースでも大々的に取り上げられ、大きな話題となった。そして、その野球ボールを見てみたいとの声が多く寄せられ、2012年12月22日から東京タワーの大展望台(現:メインデッキ)で一般公開されている。
なぜ野球ボールがアンテナ支柱の中にあったのかについては複数の説があり、空き地に置かれた建設資材に近所の子どもが遊んでいた野球ボールが紛れ込んだという説や、建設に携わった作業員が記念に入れたという説、リベット接合を行う工具に防振のために使った野球ボールが偶然に入ったという説などがある。
「子どもの頃に近くの空き地で野球をしてボールをなくした」という話が多く寄せられるなど、様々な推測がされたが、当時の事実を確認することはできず、現在の東京タワーのメインデッキでは「謎の軟式ボール」として展示されている。
2020/6/6
カテゴリー「歴史・文化」