東京の新橋駅前にそびえ立つ「ニュー新橋ビル」は、1971年(昭和46年)に建てられた歴史あるビルである。
そのニュー新橋ビルの中には数多くの「金券ショップ」があり、1階フロアだけで15店舗もある。なぜニュー新橋ビルには金券ショップが集まっているのか。その歴史を確認してみる。
ニュー新橋ビルの中で一番古い金券ショップは、日本で一番古い金券ショップでもある。そんな日本初の金券ショップは、1982年(昭和57年)に開業した「アーチ(ARCH)」という店である。
このアーチという店の主人は、金券ショップを営む前は切手や古い紙幣を主に取り扱っていた。そんな中で片隅にあった商品券にヒントを得て、金券販売だけに特化した店を作ることを思い付いた。そして、偶然にも不動産を保有していたニュー新橋ビルの中に日本初となる金券ショップを開店させた。
すると、店を始めた1982年にちょうど東北新幹線が開通し、全国への交通の便が良くなったことで新幹線の需要が高まった。さらに、1986年(昭和61年)頃からのバブル景気に向けて日本中が好景気となり、商品券や新幹線の切符の需要が大幅に高まった。
そんな時期に開店したアーチには人の行列ができ、驚くほど繁盛した。個人の売買よりも商人の売買が多かったこともあり、最高の売り上げ金額は1ヵ月で約100億円にも上ったという。
そのアーチの大繁盛ぶりを見た人たちが、新橋に金券ショップを出店すれば成功するのではと思い、次々に金券ショップを開店させた。このように、日本初とされる金券ショップが開店し、大繁盛したことで、ニュー新橋ビルには数多くの金券ショップが並ぶ結果となった。
2020/6/16
カテゴリー「歴史・文化」