飲み物の自動販売機を中心として、現在では世界中に数多くの自販機が存在する。最も古い自動販売機では何を販売していたのか。
世界最古の自動販売機は、アレクサンドリアのヘロンの著書『気体装置(Pneumatika)』に記述されている古代エジプトの「聖水」の販売機だったとされる。
これは寺院に設置され、完全に自動の装置で、5ドラクマ硬貨を投入するとその硬貨の重みで栓が開き、蛇口から水が出るという構造だった。紀元前215年頃に設置されたと言われるが、この装置の発明者やどのくらい普及していたかなどの詳細については不明な点も多い。
また、近代の硬貨で「煙草」が買える自動販売機としては1615年のイギリスのものが現存している。この煙草の自動販売機は居酒屋や宿屋に設置されていた。
日本では、1904年(明治37年)に発明された木製の「自働郵便切手葉書売下機」が、現存する日本最古の自動販売機とされる。これは名前にもある通り「切手とハガキ」の自動販売機で、当時戦争の影響で兵士に向けた遠方への手紙などが飛躍的に増えたため発明されたと言われている。
この日本最古の自動販売機は東京・大手町にあった逓信総合博物館に所蔵されていた。発明したのは山口県の発明家・俵谷高七で、この自販機は逓信省が当時の350円というかなりの高額で買い上げたが、装置作動の正確さにやや難点があり、実際には使用されなかった。しかし、現在使用されている自動販売機と原理は全く同じであることから高く評価されている。
リンク:Wikipedia、全国清涼飲料連合会、コトバンク、郵政博物館
2020/5/19
カテゴリー「歴史・文化」