魚など水中で生活する動物は「えら(鰓)呼吸」のため水中でも生きられる。えら呼吸は人間など陸上で生活する動物の「肺呼吸」と基本的に同じ仕組みである。
人が鼻や口から吸った空気は肺に入り、酸素を体内に取り入れ、二酸化炭素を体外に排出している。このように酸素を吸って、二酸化炭素を出すのが肺呼吸である。これと同じことを魚はえら呼吸で行っている。
魚はえらを使って水中の酸素を体内に取り込み、二酸化炭素を排出している。魚のえらには無数のひだが並んでいて、ひだに張り巡らされた毛細血管で酸素と二酸化炭素の「ガス交換」を行っている。
えら呼吸と肺呼吸は同じ仕組みと書いたが、水から酸素を取り込むほうがずっと大変であると言える。それは水中の酸素の量が空気中に比べてとても少なく、その量は約30分の1である。えらは水中の少ない酸素をより多く取り込むために進化を遂げた。
えらは見た目には小さな器官だが、広げると体全体の95%を占めるほど表面積が大きい。表面積を増やすことで、より多くの酸素を取り込むことができる。人など陸上の動物もえらと同じ特徴を持ち、肺にある肺胞(はいほう)という袋状の器官により表面積を増やしている。
その他に、えらには水を一方向に流すことで、常にえらに新しい水を流し込むという特徴がある。人の肺呼吸では空気を吸って、吐くという動作になるが、魚のえら呼吸は水をえらに流すだけである。より多くの水をえらに流し込み、水中の少ない酸素を効率よく体内に取り入れている。
2020/6/9
カテゴリー「生き物」