キャビア(caviar)の原料として漁獲される「チョウザメ」(蝶鮫・鱘魚:sturgeon)は、名前に「サメ」(鮫)と付くがサメの仲間ではない。
チョウザメは、チョウザメ目チョウザメ科に分類される魚であり、硬骨魚類(こうこつぎょるい)に属し、いわゆる古代魚(こだいぎょ)と呼ばれる魚類にも分類される。
硬骨魚類とは、その字の通り、骨格の大部分が硬骨と呼ばれる硬い骨で構成される魚である。ただし、チョウザメ類は硬骨魚類の中でも軟骨の割合が大きい種類である。
また、古代魚とは、はっきりした定義はないが、「生きた化石」とも呼ばれるシーラカンスのように、絶滅せずに、地層の中から発見される化石と同じ姿で、現在まで生き残ってきた魚類の総称として用いられる。
一方、サメやエイなどの軟骨魚類(なんこつぎょるい)に属する魚は、全身の骨格が軟骨と呼ばれる軟らかい骨で構成される。魚類の中で最も大きいジンベエザメも軟骨魚類に分類される。
このように硬骨魚類に属するチョウザメは、軟骨魚類に属するサメとは系統が大きく異なる。また、チョウザメは淡水魚である一方、サメの仲間はオオメジロザメなど一部の種を除いて、多くが海水魚である。
では、なぜ「チョウザメ」という名前が付けられたのか。それは、体の表面にある大きな鱗(うろこ)が蝶(チョウ)の形をしており、全体的な形が鮫(サメ)に似ていることから、「チョウザメ」(蝶鮫)と名付けられた。
2021/1/8
カテゴリー「生き物」