「そろばん」生産日本一の兵庫県小野市

兵庫県小野市は「そろばん」の生産量において日本一であり、国内シェアの約70%を占める。その理由を確認してみる。

そろばんのまち小野市

「そろばんの町」小野市を中心に製造される「そろばん」は「播州(ばんしゅう)そろばん」と呼ばれる。播州そろばんは兵庫県の伝統工芸品であり、1976年(昭和51年)に通商産業省(現:経済産業省)により「伝統的工芸品」に指定された。

「そろばん作り」には大きく分けて、「玉削り」「玉仕上げ」「竹ひご作り」「組み立て」の4つの工程がある。小野市の各所の工場で玉や竹ひごなどのそろばんの部品が作られ、最終工程の「組み立て」は職人の手作業により行われる。

一般的なそろばんには23本の竹ひごの棒があり、それぞれに玉を通す必要があるが、4個x23本=92個の玉はたくさんの玉が入った木箱の中で何度もそろばんを往復させることで、棒に玉を通している。手作業とはいえ、玉1個1個を手で棒に通しているわけではない。

このような職人技により、年間約15万丁の播州そろばんが作られている。では、なぜ小野市がそろばんの産地になったのか。これには安土桃山時代の武将・豊臣秀吉(とよとみ ひでよし、1537~1598年)が関係している。

1578年(天正6年)から2年に渡り、秀吉は播磨国三木(はりまのくに みき、現:兵庫県三木市)にある三木城を攻撃し、侵略した。

その時、三木城の隣り町である小野の住民は現在の滋賀県の大津へと避難した。大津は日本有数の「そろばんの産地」であり、避難した小野の住民はその大津でそろばんの作り方を教わり、習得した。

その住民が大津で得た技術を小野に持ち帰り、そろばんを作り始めた。小野の土地や気候がそろばん作りに適していたこともあり、小野市は「日本一のそろばんの産地」へと発展したと言われている。

リンクWikipediaコトバンク

2020/12/10

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カテゴリー「歴史・文化

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