中国の国鳥が決まっていない理由

日本の国鳥(こくちょう)はキジ(雉)であり、他の多くの国でも国鳥が決められている。そんな中で中国は国鳥が正式に決まっていない。

キジ
キジ

各国の国鳥の例を挙げてみると、アメリカはハクトウワシ、イギリスはヨーロッパコマドリ、フランスはニワトリ、ドイツはシュバシコウ、オーストリアはツバメ、デンマークはコブハクチョウ、インドはインドクジャク、オーストラリアはエミュー(コトドリという情報もある)、ニュージーランドはキーウィ、メキシコはカラカラ、チリはコンドルとなっている。

日本では1947年(昭和22年)に日本鳥学会が国鳥としてキジを選定した。国の法令としての根拠は存在しないが、キジは日本において古来古くから親しまれてきた鳥である。一方、日本では国鳥のキジが狩猟対象となっており、これは世界的に見ても珍しいと言える。

そして、中国の国鳥が正式に決まっていない理由には日本が深く関係している。2004年(平成16年)に中国で国鳥を決めようという動きがあり、インターネット上で人気投票を行ったところ、1位にタンチョウ(丹頂)、2位にトキ(朱鷺)が選ばれた。

タンチョウ
タンチョウ
トキ
トキ

しかし、1位のタンチョウの学名は「Grus japonensis」であり、これは「日本のツル(鶴)」という意味である。さらに、2位のトキの学名は「Nipponia nippon」(ニッポニア・ニッポン)であり、こちらも名前に「日本」が入っている。

このようにタンチョウとトキの学名に「日本」が入っていることから中国国内で議論が巻き起こり、結果的に中国の国鳥にこれらの鳥は採用されなかったという逸話がある。

ちなみに、日本の国鳥はキジであるが、日本においてトキは「日本を象徴する鳥」などと呼ばれることもある。

また、タンチョウはツル科に分類される鳥で「タンチョウヅル」とも呼ばれる。日本で一般的に「ツル」と言えばタンチョウのことを指す。その美しさから日本では古くから親しまれてきた鳥である。

日本と同様に中国でもタンチョウは古くから親しまれてきた歴史がある。そして、現代でも上記の人気投票において、タンチョウは全510万票のうち約65%を獲得するほどの圧倒的な人気であった。

リンクWikipediaコトバンク

2021/1/22

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カテゴリー「歴史・文化

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