イタリア料理にトマトが欠かせない理由

トマトソースのパスタやピッツァなど美味しいイタリア料理にはトマトが欠かせない。イタリアでトマトが食べられるようになった一説について確認してみる。

イタリア料理

トマトの原産はイタリアではなく、南アメリカのアンデス山脈の高原地帯とされる。そして、16世紀にメキシコのアステカ帝国を征服したスペインのエルナン・コルテス(Hernán Cortés、1485~1547年)によって、トマトはヨーロッパへ持ち込まれた。

現在日本で一般に普及しているトマトは直径が約8cmだが、当時のトマトは直径が約4cmで小さかった。その小さめのトマトは当時スペイン領だったイタリアの都市ナポリにも伝わった。

ただし、当時のイタリアではそのトマトを食べる人はいなかった。それはヨーロッパの人々に恐れられていたマンドレイクやベラドンナという植物が原因だった。

このマンドレイクやベラドンナは毒性が強い有毒植物で、食べると幻覚や嘔吐(おうと)などを引き起こし、場合によっては死に至る危険な植物である。これらの毒を持つ植物はトマトと同じナス科の植物だったことから、トマトも有毒で危険だと思われ、イタリアの人々が口にすることはなかった。

その一方で、トマトは赤や黄色など色鮮やかであり、イタリアの富裕層の間で観賞用の植物として重宝された。そんな中で、お腹を空かせた一人の庭師が死を恐れず観賞用のトマトを食べた。これによりトマトが食べられると分かり、イタリアの中でトマト文化が広まっていった。

ただし、その当時のトマトは皮が硬く、生では食べにくいものだった。そこで、品種改良を行うことで、皮や実が柔らかく水分を多く含んだトマトが作られた。

また、ナポリがあるイタリア南部は温暖な気候でトマト栽培に適していた。こうしてイタリアでは美味しいトマトが栽培されるようになり、イタリア料理に欠かせない存在となっていった。

ちなみに、日本のトマトは甘く生で食べることが多いが、イタリアのトマトは酸味が強くパスタのトマトソースのように煮込むなど加熱して食べることが多い。トマトは煮込むことで味がまろやかで美味しくなる。

また、日本で見られるパスタ料理で主にトマトケチャップを使って作られるナポリタンは、名前にナポリと入っているが、日本生まれの洋食でありイタリアのナポリが発祥ではない。

リンクWikipediaコトバンク

2021/1/28

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カテゴリー「食べ物

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