一般的に紅茶を飲むためのティーカップ(teacup)にはソーサー(saucer)と呼ばれる受け皿が付属している。
かつてのソーサーは底の深い形状で、カップにソーサーが付属するのは紅茶を注いで飲むための器だったためである。その当時は紅茶をソーサーに移して飲むのが正しい作法だったと言われている。
ヨーロッパでお茶が飲まれるようになったのは17世紀に入ってからで、1610年にオランダの貿易会社である東インド会社が日本から緑茶の輸入を開始した。ヨーロッパで最初に飲まれるようになったお茶は日本から輸入された緑茶だった。その後、日本が鎖国を行うと、ヨーロッパでは中国からの緑茶の輸入が主流となった。
17世紀中頃に中国で誕生した紅茶がヨーロッパへ伝わり、その味わいが西洋人の好みに合い、緑茶より人気になっていった。貴族から庶民まで紅茶を飲むようになったが、イギリスやオランダではお茶が輸入され始めた頃にはティーポット(teapot)がまだ輸入されていなかった。そこで、まだ取っ手のないティーカップに茶葉を直接入れ、お湯を注いで飲んだ。
しかし、この飲み方だと茶葉が口に入る場合もあり、これを防ぐ方法としてお茶をソーサーに移して飲んでいた。また、ヨーロッパでは熱いものを飲む習慣がなかったことから冷ます目的もあったと考えられている。
18世紀になるとヨーロッパでもティーポットが作られるようになり、お茶をソーサーに移して飲む習慣はほとんどなくなった。その後、ティーカップには取っ手がつき、現在のようなソーサーとセットになった。ティーカップに皿がつくのはかつての習慣の名残であると言える。
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2021/7/6
カテゴリー「食べ物」