「天然氷(てんねんごおり)」とは、湖や池などで採取または製造される氷で、空気などの不純物を含んでおらず、透明度が高いのが特徴である。
一般的な家庭用の製氷機で作った場合には、マイナス18℃以下の低い温度で急速に凍り、空気やミネラルなどの成分が一緒に凍るため、白く濁ってしまうことが多い。天然氷は冬の自然の寒さで作られ、夏まで保管される。
天然氷が作られ始めるのは気温が氷点下を下回る11月中頃からで、氷池(ひいけ)と呼ばれる人工の池に山の水を引き込む。この水を凍らせて氷を作るが、中にゴミが入ったり、凍り方にムラがあった場合には、氷を割って全ての水を流して一から作り直す。
そして、表面に積もる雪やゴミなどをこまめに取り除きながら、2~3週間じっくりと凍るのを待つ。このゆっくり凍るのが重要なポイントであり、冬の気温マイナス5℃前後で時間をかけて氷ができる間に不純物が押し出され、透明度の高い氷となる。
凍って厚みのある氷になると、巨大なカッターで切り出して、その氷を手作りの竹のレールを利用して、氷室(ひむろ)と呼ばれる貯蔵庫へ運ぶ。そして、氷を溶けにくくし、抗菌作用もあるおがくず(木くず)の中で夏まで保管される。このような天然氷の作り方は奈良時代から続く伝統である。
この天然氷を使って美味しいかき氷も作られるが、天然氷は製造量が少なく値段も高い。そこで、かき氷専門店などでは天然氷に代わって「純氷(じゅんぴょう)」と呼ばれる氷が使用される。
純氷も天然氷と同様に不純物の入っていない透明な氷で、製氷会社において人工的に作られる。作る時のポイントは天然氷と同じくゆっくり凍らせることである。作る時にできる中央の白く濁った部分は、切って取り除くため透明な氷となる。
値段は天然氷よりも純氷の方が安く作ることができる。純氷は多くのかき氷専門店で使われている他、コンビニでよく見かけるカップ氷やかち割り氷にも使われている。
ちなみに「氷」や「かき氷」に関連する記念日として、6月1日は「氷の日」、7月25日は「かき氷の日」となっている。
2021/7/21
カテゴリー「食べ物」