焼肉の定番でもある「カルビ」は「脂がのって美味しい肉」というイメージがある。しかし、焼肉店においてその定義は意外と曖昧(あいまい)である。
日本の焼肉店では「カルビ」の部位に関する明確な定義がなく、「どこの部位の肉でも構わない」と定義されている。「カルビ」は肉の部位の名前ではなく、メニューの名前である。
「カルビ」は韓国語に由来する言葉で「あばら骨」を意味する。日本で焼肉が広まった頃、「脂身のある骨付きあばら肉」を焼いて食べるのが高級な外食とされ、日本ではこの肉が「カルビ」と呼ばれた。
当初は「脂身のある骨付きあばら肉」がメニューの「カルビ」として提供されていたが、その食べにくさから骨が外され、「脂身のあるあばら肉」を意味するようになった。その後、さらに「カルビ」の解釈は変わり、「脂身のある肉」が一般的になった。
一昔前の焼肉店のメニューでは、「カルビ」は「脂身のある肉」、「ロース」は「それ以外の赤身の肉」という曖昧な基準で提供された場合も多かった。この基準が変わったきっかけは客からのクレームだった。
2010年(平成22年)に焼肉店に対してメニューの曖昧な基準についてクレームが入り、国(消費者庁)が細かくメニューを表示するよう要請した。これにより「ロース」は「ロース部位の肉を使う」というように「もも」「かた」「すね」などのメニューの決まりができた。
この時に「カルビ」は部位の名前ではないため、消費者庁では「どこの部位の肉でも構わない」という話になり、焼肉店において「カルビ」は曖昧な定義のままとなっている。
2021/7/28
カテゴリー「食べ物」