世界遺産として有名なチリ領イースター島のモアイ像は、一列に並んでいるイメージがあるが、かつては部族間の争いで多くが倒され、見るも無残な状態だった。
そんなモアイ像を救ったのが日本の建設用クレーンメーカーの株式会社タダノである。香川県高松市に本社を置く同社は、1992年(平成4年)からクレーンなどをイースター島に持ち込んで、島南部のアフ・トンガリキにあるモアイ像の復元・修復に成功。また、使用後のクレーンなどをイースター島に寄贈した。
これはTBSの教養クイズ番組『日立 世界・ふしぎ発見!』で1988年(昭和63年)の秋にイースター島を特集した際、「クレーンがあれば、モアイを元通りにできるのに」という知事の声を放送したところ、解答者である黒柳徹子(くろやなぎ てつこ)が「日本の企業が助けてあげればいいのに」という内容の発言をし、それをタダノの社員が見ており、社長が話に乗ったのがきっかけである。
クレーンの運搬にはチリ海軍の協力を得ており、このプロジェクトの費用約2億円は全額タダノが負担している。また、プロジェクトチームには考古学者や石工職人など各分野の専門家が集結し、3年以上の年月をかけて15体のモアイ像の復元・修復に成功した。
現在これらのモアイ像がある場所は観光名所となっており、モアイ像の近くにはタダノの功績を評するプレートが設置されている。また、高松市の女木島(めぎじま)にはクレーンの練習用として製作したモアイ像が寄贈されている。
2021/8/3
カテゴリー「歴史・文化」