「渡辺」の漢字が多い理由

名前の「わたなべ」の漢字には「渡辺」をはじめ「渡邊」「渡邉」など数多くあり、その数は50種類以上もある。

「渡辺」さんは日本に100万人以上いるとされ、人数が多い名字ランキングで6位に入る。「渡辺」はもともと地名であり、その名前は「わたしのべ」に由来する。

「わたしのべ」は川の向こう岸に船を渡す「船渡し」を意味し、「船渡し」を生業とする人が住んでいた場所が「渡辺」と呼ばれた。そして、その「渡辺」の土地に住んでいた人が「渡辺」の姓を名乗ったという説がある。

その後、漢字が50種類以上にも増えた理由には諸説あるが、主に2つの説が有力とされる。1つ目は「分家が本家に気を使った」という説である。明治時代に戸籍を登録する際に、本家と分家の区別がつくように同じ漢字を使わないように分家が気を使った。

もともと本家は「渡辺」とされ、後に分家が「渡邊」や「渡邉」を名乗るのようになった。しかし、次第に使える漢字がなくなり、文字の画数を増やしたり減らしたり、一部を変化させたりした。結果として多くの種類の漢字が生まれた。

2つ目は「役人や当事者が書き間違えた」という説である。これは戸籍を登録する際に、役所の人または当事者が漢字を書き間違えたというものである。この説は「渡辺」と同じように「斎藤」の漢字の種類が多い理由でもある。

このように「渡辺」の漢字が多い理由としては、「分家が本家に気を使った説」と「登録する際に書き間違えた説」の主に2つが挙げられる。種類の多い「渡辺」の漢字にはそんな過去の出来事を垣間見ることができる。

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2021/8/28

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カテゴリー「歴史・文化

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