木彫りの熊が北海道名物の理由

木彫りの熊(きぼりのくま)は、クマをかたどった木製の立体造形物・民芸品で、北海道の土産として日本国内で広く知られる。

木彫りの熊

代表的な土産熊のデザインは、四つんばいになったヒグマが鮭をくわえているものであるが、現在までに様々なデザインの木彫りの熊が作られてきた。日本で木彫りの熊が生まれたのは、北海道の南西部にある八雲町(やくもちょう)である。

この八雲町は旧尾張藩士の人たちが移住して開拓した町で、主に農業で生計を立てていた。しかし、北海道は冬場は雪が降るため、農作業ができず苦しい生活を強いられていた。それを救おうとしたのが尾張徳川家第19代当主・徳川義親(とくがわ よしちか、1886~1976年)である。

義親は1921年(大正10年)から1922年(大正11年)にかけての1年間、ヨーロッパ旅行に出かけた際、立ち寄ったスイスのベルンで熊の木彫りを見つけて八雲町に持ち帰った。そして、義親は農作業ができない冬の間、生活のために木彫りの熊を作ることを提案した。

その後、八雲町の木彫りの熊は展覧会での入賞などもあり、木彫りの熊は次第に世に知られるようになり、北海道の土産として人気となった。現在、八雲町郷土資料館の中には木彫り熊資料館があり、義親がスイスから持ち帰った木彫り熊などが展示されている。

また、木彫りの熊が全国的に有名になったのは、1960年(昭和35年)に国民の生活水準を改善する目的で行われた所得倍増計画も関係している。この計画は地域産業の復興も含まれており、さっぽろ羊ヶ丘展望台やのぼりべつクマ牧場など、北海道各地に新たな観光資源が誕生した。

1960年からの10年間で北海道を訪れる観光客の数は約3.6倍にもなり、北海道は空前の観光ブームとなった。そんな中で観光客に土産として人気があったのが木彫りの熊である。そして、木彫りの熊は全国各地に広まり、北海道土産の代名詞となっていった。

リンクWikipediaコトバンク

2021/9/8

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カテゴリー「歴史・文化

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